ネパール音楽・舞踊公演

多民族国家ネパールには100以上の民族が暮らし、北のチベット、南のインドの影響も受け、多種多様な音楽・舞踊があります。この事業ではネパールの舞踊、演奏者を招き、ステージ公演の他、学校交流、音楽ワークショップを行いました。

 

■ネパール音楽舞踊公演「ラリグランス」2004年
■ネパール音楽舞踊公演「サパナ」2001年

 


2004年公演「ラリグランス」

カトマンズで伝統音楽の収集と再構成を行っているヌチェ氏とその生徒たち、パタンの伝統音楽を日常的に舞い奏でる人たち12名が来日。道内、奈良で公演、ワークショップを行いました。

・会場:滝川市、旭川市、稚内市、札幌市、奈良市
・日時:2004年10月

 

■■■音楽舞踊公演■■■

仏教・ヒンズー教音楽、山間地民族・ネワール族民謡、祭り儀式など16曲を上演しました。

 

01:マンジュシュリ

大昔、カトマンズ盆地は、大きな湖でした。チベットの高僧マンジュシュリは、山を崩し、湖の水を流し、人々が暮らせるようにした。

●踊り:マンジュ・カジ

02:サングリバリドゥン

他所から嫁いできた女性が、小さな庭で実家の母を思い出しながら歌う。(当公演では演奏のみ)

●打楽器:ヌチェ・バハドゥール・ダンゴール サランギ(弦):ハリ・サラン・ネパリ

03:バイラブ・カリ・ピャカン

ヒンズー教の神、バイラブ(男神)とカリ(女神)が、怒りや喜びを表して踊る。

●踊り:男神サミル・シュレスタ、女神ジュヌ・シュレスタ


04:マカマリ・チョロ

マカマリ・チョロは、花嫁の高価な服。村の娘が、マカマリ・チョロや宝石がなくても、自分はそのままで美しいと歌う。

●踊り:ソニ・グルン(11歳)

05:ビャンツリ・ドゥン

ビャンツリは「朝のつぼみ」。早朝、花売りたちが「朝日が昇った。起きて、花を買ってお参りに行きましょう。」と呼びかける。昔から朝早くラジオからこの曲が流れる。

06:シリシリ

シリシリは「風がそよそよ吹く」という意味。春風に吹かれた娘が、幸せな恋心を歌う。

●踊り:マンジュ・カジ(左) ジュヌ・シュレスタ(右)


07:ヒラ・メロ・バイホ

ヒラ・メロ・バイホは「仲間たちよ、一緒に行こう」という意味。ガンダルバ民族の民謡で「一緒に、国を作っていこう」と呼びかけている。

08:シルサヤヘク

シルサヤ・ヘクは、糸紡ぎの道具。糸紡ぎを贈ってくれた男性への恋心を歌う、娘の唄。

●踊り:サジナ・マハルジャン(右)ソニ・グルン(左)

09:サストリヤ・ヌリッテャⅠ

インド・ネパールに伝わる舞踊。ヒンズー教の、クリシナ神と、妻のゴピという女神の愛の物語。

●踊り:ジュヌ・シュレスタ(右)サミル・シュレスタ(左)


10:ドゥニャ・ニャ

ネワール族ジャプ(農民)の伝統行事。大昔カトマンズ盆地が密林だった頃、太鼓の音や竹ざおで、猛獣を追い払っていたことが起源といわれる。

11:ギンタン・マイ・ピャカン

ネワール族の古い民謡。ギンタンはキンと言う太鼓の音、マイは若い娘の意味。つれない恋人に、楽しかった時の思い出を語る娘の踊り。衣装はネワール女性の代表的なハクパタシ。

●踊り:サジナ・マハルジャン

12:ラジマティ

500年以上前からある曲で、世にも美しいRajmatiという女性の物語。ジャプの伝統楽器であるカンタン・ダブダブという太鼓を使う。

●カンタン・ダブダブ(太鼓):ダルマ・マハルジャン


13:ディメ・ピャカン

ネワール族の代表的な太鼓ディメで踊る。ジャプのグループでは、伝承の形を変えずに伝え続けている。

●踊り:サジナ・マハルジャン(右) ダルマ・マハルジャン(左)

14:ボラボラ

丘に住む民族の民謡。プロポーズする若者と、それにこたえる娘のやりとりを表現している。

●踊り:サミル・シュレスタ(右) マンジュ・カジ(左)

15:サストリヤ・ヌリッテャⅡ

ヒンズー経の神を讃える踊り。インド・ネパールに伝わる古典舞踊を、ヌチェ・バハドゥール・ダンゴールが、アレンジ。

●踊り:ソニ・グルン


16:ソイソイラ

山地に住むグルン民族の民謡。一目ぼれした 娘に、思いを伝える若者たちの 歌。


■■■ワークショップ■■■

舞踊「ソイソイラ」を、楽器組、舞踊組ごとに練習し、来日メンバーと参加者全員で実演しました。(会場:旭川・おぴった)

 

1:舞踊を見る
マンンジュ・カジ、サミル・シュレスタによる舞踊「ソイソイラ」を鑑賞しました。

2:楽器を聴く
公演メンバーの各楽器の音色を鑑賞しました。

3:サランギの練習
演奏グループは、弦楽器、打楽器、笛の練習をしました


4:舞踊の練習
舞踊グループはジュヌ・シュレスタ、サミル・シュレスタが指導。

5:みんなで実演

演奏グループの伴奏で皆で踊りました。

ワークショップの動画はこちらから


■■■使用した楽器■■■

公演で使用した打楽器、弦楽器、笛です。打楽器は音程も重要で、チューニングも行います。サランギは演奏者自ら作るガンダルバ族の楽器です。

タブラ:インド、ネパールの最も代表的な楽器

パチメリ マダル:ネパール西部地域のグルン、マガル民族の楽器

 

ディメ:ネパールのネワール民族のジャプカーストだけの楽器


キン:ネパールのネワール民族のマナンダール、ジャプ、サキャカーストだけの楽器

シタール:タブラ:インド、ネパールの最も代表的な弦楽器

サランギ:ネパールのガンダルバ族の弦楽器


バスリ:インド、ネパールの竹のある地域でできた楽器。

ベー:ネワール民族ジャプカーストの楽器。サティサールという木で作る。


■■■日程■■■

9/17 音楽舞踊公演(滝川市/たきかわホール)   
9/19 ワークショップ「知ろう!ネパール!体験しよう!ネパール!」( 旭川市/おぴった)     
9/20 音楽舞踊公演(旭川市民文化会館)   
9/22 ワークショップ(稚内市潮見が丘中学校) 音楽舞踊公演(稚内綜合文化センター)   
9/25 音楽舞踊公演(札幌市/道新ホール) 
9/28    音楽舞踊公演・ワークショップ(札幌市/北星学園大学)   
9/29 国際協力市民セミナー( JICA札幌)

10/1    舞踊・楽器ワークショップ(奈良市)        
10/2 音楽舞踊公演(奈良市/学園前ホール)

ネパールでの準備の様子はこちらのリンクから!!

2001年公演「サパナ」

ネパール・サンク村エバーグリーン校の生徒たちとガンダルバチームら17名が来日。北海道内で公演、交流プログラムを行いました。

 

・会場:札幌市、下川町、滝上町、小樽市、厚真町

・日時:2001年10月

 

■■■公演プログラム■■■

ヒンズー教音楽、各種民族民謡、現代音楽など11曲を上演しました。

01:クマリ(KUMARI)

「クマリ」は今も信仰されている、幼い少女の生神様。両目、額の3つの目(神世、現世、地獄)を示し、人々を守ることを表す。手をひらひらさせ回るしぐさは、人々の救済が広く及ぶことを示す。

02:タマンセロ(Tamang Selo)

山地のタマン族の踊り。祭りで結婚相手を探す様子。
男「絶対君を僕の枕にする(結婚の意味)」
娘「私には3つの舌がある。(両親、自分の舌=両親の返事が必要)。それに、あなたの話は象のようで、みかけはネズミのよう」

03:ジャガド(Jhagad)

南部マジ族の踊り。「マジ」は漁をするカーストだが農繁期には出稼ぎで田植えにもいく。この踊りは田植えのために雨乞いをしている踊り。


04:ボジプリ(Bojpuri)

南部ボジプリ族の踊り。嫁は嫁ぎ先の義理の母、妹とは何でも話せるが、義理の弟や兄の妻とは特別な時しか話せない。

嫁いだばかりの新妻が朝起きてティカ(額の飾り)が無いことに気づき、探しまわっている。

「義理のお母さんや妹に聞いたけど見つからない。義理の姉さんや弟に聞くのは恥ずかしい」

05:シムシメパニ(Sim Sim Pani)

プロポーズする男と、人目を気にしてはにかむ娘との掛け合い。
歌詞で繰り返される「シムシメパニ」とは「こぬか雨」の意味。作物のために好まれる天気で、恋愛中の雰囲気を意味する言葉。

06:休憩

幕間には、サンク村の人々の暮らしを動画で紹介。朝の共同水場での、水汲み、洗髪の一コマ。


07:シルシャヤ ヘク(Shirsha Ya Heku)

恋人から糸紡ぎをもらった娘。「糸紡ぎをもらう」とはプロポーズされたということ。手をぐるぐる回すのは糸を紡ぐしぐさ。

「あの人が私に糸紡ぎをくれた。その日から私は胸がいっぱい。全てのものが新鮮に見える…」 

08:ワリゾムナ パリゾムナ(Wari jomunaa pari jomunaa)

近年のヒット曲で曲名は「向こう岸、こっち岸」。お爺さんが若者に昔話を聞かせている。

「幼なじみの子と結婚したかったが叶わなかった。人生は、よい時は花が咲き、悪い時は黒雲に覆われる。この命、あの時はあの子に捧げたかったけど、死んだ時には川に捧げよう」

09:シタ ラニ バナイマ(Sita Rani Banaima)

インド古代叙事詩「ラーマーヤナ」。ラマ王とシタ王妃の物語。悪魔が美しいシタ王妃を手に入れようとするが、彼らの堅い絆を解くことはできない。結婚式でよく歌われる。


10:コウダ(Kauda)

グルン族の踊り。これも結婚相手をさがす踊り。
男「一目ぼれした。僕についてきて」
娘「まだ恋なんてよく分からないけど、あなたに教えてほしい」と、意中の男の帽子を落とします。男は帽子を拾い「僕の気持ち」と娘の頭にかぶせる。

11:ヴァジラヨギニ(Bajrayogini)

カトマンドゥで2番目に古いヴァジラヨギニ寺院の女神。生首を持ち、生首を首飾りにした恐ろしい姿だが、悪人を退治し善人を極楽へ導く。この踊りは、悪人を退治する様を表している。

 

12:テョ チン テョ(Tyo Chhin Tyo)

「テョ チン テョ」は「山盛りでおくれ」の意味。ネワール族の12月の収穫祭には「ヨーモリ」という餅菓子を作る。子どもたちはこの歌を歌いながら家を周りヨーモリをねだる。その様子を歌ったもの。



■■■公演日程■■■

10/ 5 札幌藤学園
10/ 5 JR北海道ロビーコンサート(札幌市)
10/ 6 下川町公民館
10/ 7 滝上町文化センター
10/11 札幌コンカリーニョ
10/12 厚真町福祉センター

ネパール絵画プログラム

ネパールは絵画教育がまだ充分に行われていません。そんな中、サンク村エバーグリーン校では専任の美術教師をおき、熱心な芸術教育を進めています。当校の生徒たちと、ネパールではまだ数少ない現代画家が来日し、絵画展、交流プログラムを行いました。

 

A:ネパールの絵画展

エバーグリーン校生徒たちの水彩画120点、画家サリタ・ドンゴルのアクリル画20点の展示を行いました。生徒たちの水彩画には日々の暮らしと自然が瑞々しく表現されていて、多くの方々から感動の声をいただきました。

 

会場:JR札幌駅、ちえりあ
日時:2001年9月・2002年12月

 

■エバーグリーン校の作品■村の家並み、人々の仕事と祭り

■サリタ・ドンゴルの作品■樹々をモチーフとした作品

 

サリタ・ドンゴルが描く「樹」は、神聖な菩提樹であり、飼料・燃料となる生活の木です。 樹と語り、樹の感情を捉えることができるサリタが描く樹々の言葉・訴え。彼女が日本の樹々から受け取ったメッセージとは?

 

B:交流プログラム

サリタドンゴル(画家)とラジェンドラ(美術教師)による実習授業や高専の授業、施設の見学、高齢者施設での交流プログラムを行いました。

■■■創造教室■■■

サリタ・ドンゴル(画家)が、枝、石、葉を素材にして彩色する授業を行いました。

[会場]厚真中央小学校(厚真町)

[日時]2002年12月

■■■創造教室■■■

ラジェンドラ(エバーグリーン校美術教師)が、ネパールの布とプラスターを使った絵画の授業を行いました。

[会場]厚南中学校 (厚真町)

[日時]2003年2月

■■■創造教室■■■

創造教室で作られた日ネ生徒たちの合同作品展を開催しました。

[会場]マリアギャラリー(札幌市)

[日時]2003年2月

 


■■■高専訪問■■■

札幌市立高専(現札幌市立大学)で國松明日香先生のご案内で実習授業、施設見学を行いました。

[会場]札幌市立高等専門学校

[日時]2003年2月

 ■■■高齢者施設訪問■■■

似顔絵を描き、ネパール民謡、演奏も披露しました。

[会場]ケアハウスはる(小樽市)

[日時]2003年2月

 

 ■■■高齢者施設訪問■■■

ネパールには高齢者施設がありません。なぜお年寄りだけで暮らしているのか、生徒たちはとても不思議そうでした。